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2度の失敗を経て月収200万円——24歳が辿り着いた「Build in Public」の教科書

2度のプロダクト失敗を経て月収200万円を達成したFelix Heikka。AI Cofounder(旧Buildpad)を70,000人以上に成長させた「Build in Public」戦略を、数字つきで徹底解説します。
2度の失敗を経て月収200万円——24歳が辿り着いた「Build in Public」の教科書

ふつうに考えれば、24歳で起業して10ヶ月以内に月収200万円に届くなんて、まるで映画の脚本みたいです。でもフェリックス・ヘイカの場合、これは実話です。そして何より嬉しいことに、彼がやってきたことは誰にでも参考になる形で公開されています。

スウェーデン出身のフェリックスと兄デイビッド。彼らは「Build in Public(進捗を公にしながら作る)」という手法で、AI Cofounderというプロダクトを70,000人以上が使われるサービスに育てました。

今回は、2度のプロダクト失敗を経て辿り着いた彼らの戦略を、数字つきで完全に分解します。明日から真似できる具体策がきっと見つかるはずです。


彼に何が起きたのか

フェリックスとデイビッドは、スウェーデン北部で育った兄弟です。高校を卒業後、2人はまったく違う道を選びました。

兄デイビッドはプロのポーカープレイヤーとしてアジアへ渡り、5年後にヨーロッパに戻ってきてSaaSを創業——月300万円($30K MRR)まで成長させました。一方、弟フェリックスはスウェーデン軍に入隊し、5年半かけて非委任士官(NCO)として任務を全うしました。

2人が再会したのは2024年3月、ブダペストでした。週一のビデオ通話で「一緒にビジネスをやろう」という夢を語り合い、タイミングが合ったその日に決断しました。フェリックスは軍を退役し、ブダペスト行きの片道チケットを購入。兄弟での創業が始まりました。

ここからが本題です。起業してすぐ成功したわけではありません。むしろ、最初の5ヶ月はかなり厳しいものでした。

2度の失敗——そこから彼らが学んだこと

AIConvert:AIによるリード獲得フォーム

最初のプロジェクトは「AIConvert」。Davidが自分のSaaSで直面した課題をきっかけに、AIを活用したリード獲得フォームを作りました。フェリックスはマーケティングを学びながら、有料広告、SEO、コールドDM……あらゆる手法を試しました。

結果は、思うように登録者が集まらない。 ambitiousな目標を立てても、どれも達成できなかったのです。フェリックスの貯金を切り崩しての生活が続いていました。

TinderRoast:バイラルしたけどビジネスにはならなかった

次に挑戦したのは「TinderRoast」。X(旧Twitter)で「投稿履歴からAIがあなたを酷評する」ツールがバズっているのを見て、「これをデートプロフィール版でやろう」と思いつきました。

バズはしたものの、ビジネスとして持続するところまでは辿り着けませんでした。

5ヶ月間の教訓

2人は6日間、朝から晩まで働き続けましたが、返ってきたのは沈黙だけ。ここで彼らは大切なことに気づきました。

「作ってから売る」のではなく「需要を確認してから作る」。

これが後の成功につながる、一番大きなマインドセットの転換でした。

「Build in Public」って何?

Build in Publicとは、プロダクトの開発過程や学び、失敗までも含めてSNSで公にシェアしながらユーザーを集める手法です。Felixが実践した具体的な数字が面白いので、見てみましょう。

  • X(Twitter):毎日2回投稿 + 30件の返信
  • Reddit:2〜3日に1回の頻度で投稿(r/SaaS、r/indiehackers、r/Solopreneurなど)

投稿の内容はこうです。

  • 今日やったことと、その結果
  • 学んだ教訓のシェア
  • たまにミームや本音の投稿

「すごいテクニックを使ってフォロワーを増やしました」という類の話ではありません。ただひたすらに、毎日の進捗を正直に公開し続けた。これが最初の1.5ヶ月で初期ユーザーを呼び込む原動力になりました。

Product Huntで#4を取るための数字

MVPをリリースしてから45日間、ユーザーのフィードバックを聞きながらプロダクトを改善。そして迎えたProduct Huntでの公式ローンチ。

ここでの数字が圧巻でした。

ローンチ当日の行動:
- コミュニティへの投稿:13回
- 返信:91件(普通のエンゲージメント。「upvoteしてください」とは言わない)
- 直接サポートのDM:22件

結果: #4 of the Day、500以上のupvotes、初日のうちに最初の有料顧客5名を獲得。

ここで大切なのは、「upvoteして」とお願いするのではなく、普段通りにコミュニティと関わり続けたことです。最初の数upvoteをコミュニティから得て、あとはProduct Huntのオーガニックなトラフィックが勝手に回っていく——この設計が功を奏しました。

ローンチから10ヶ月後、彼らは累計$51K(約750万円)を達成。さらにその後、月$14K(約200万円)以上のMRRに成長しました。

効いたものと、効かなかったもの

効いたチャネル

Build in Public(X・Reddit)
毎日2投稿+30返信。これが一番の収益源になりました。「自分のプロダクトを作る過程そのものがマーケティングになる」という構造です。

インフルエンサースポンサー
「自分でコンテンツを作る時間がないなら、人に作ってもらえばいい」。Xでオーガニックなトラフィックを持つインフルエンサーにスポンサー料を支払い、自社プロダクトの宣伝を依頼しました。Build in Publicで得た知見をさらに拡張する形です。

口コミ(Word of Mouth)
驚いたことに、有料顧客の35%が口コミ経由でした。「プロダクトの品質で驚かせる」——ユーザーが友人にすすめたくなる体験を最優先した結果です。

メールの書式を「全部消した」
これは面白いエピソードです。会社のブランディングが施されたリッチなHTMLメールは「機械的」「企業的」に感じられ、開封率が下がっていました。そこで全部プレーンテキストにしたら、開封率がほぼ倍になったのです。丁寧なメールが必ずしも効果的なメールとは限らない、という逆説的な教訓です。

効かなかったチャネル

SEO・ブログ記事
全く流入がありませんでした。「自分のプロダクトは人が検索するものではない」と気づいたのです。プロダクトの性質を見極める重要性を、身をもって学びました。

アフィリエイト
応募してくるアフィリエイターの99%が0登録。アフィリエイトは申し込むだけで実行しない人が多く、鵜呑みにできないと判断しました。

Instagram
閲覧数は稼げても、コンバージョンはゼロ。プラットフォームとプロダクトの親和性が重要だということも学びのひとつです。

AI Cofounderというプロダクト

2度の失敗を経て生まれたのが、AI Cofounder(旧Buildpad)です。一言でいえば「AI共同創業者」。

ChatGPTなどの汎用AIにアイデアを相談すると、「素晴らしいアイデアですね!」と忖度されることが多い。でも創業者が必要なのは、イエスマンではなく「そのアイデアには課題があります」と直言してくれる存在です。

AI Cofounderはこれを構造化されたフェーズで実現します。

  • 市場調査:Redditなどのソーシャルメディアをクロールし、「人々が本当に欲しいもの」を分析。236の情報源からのレポートを生成します。
  • キャンバス機能:アイデアを視覚的に整理し、ノートや全体像を一箇所で管理。
  • プライバシーモード:機密情報を保護。
  • 批評的なAI:「アヒル用の帽子を売りたい」というアイデアに「Amazing idea!」とは言ってくれません。

価格はProプランが月$39(約5,800円、200クレジット/月で約5プロジェクト分)、Maxプランが月$85(約12,600円、500クレジット/月で約12プロジェクト分)。現在は70,000人以上の創業者が利用しています。

日本で応用するなら——具体的にどうするか

Build in Publicは、実は日本でも十分再現可能です。ただし、いくつかのポイントを押さえる必要があります。

X(Twitter)日本版のコミュニティに入る

日本の#IndieHackersJP、#個人開発、#AIスタートアップといったタグの界隈は思ったより活発です。毎日2投稿+30返信は、日本語でも実行可能な工数です。ただし、英語圏に比べてXのユーザー数が少ない分、一投稿あたりのリーチは高くなる可能性があります。

Product Huntは日本人にも開かれている

PHで#1を獲得した日本人の事例もあります。ただし、PHのタイムゾーン(PST)と日本の生活リズムのミスマッチには注意が必要です。ローンチの前日に日本語コミュニティで予告しておくなどの準備が効果的です。

「失敗を晒す」は日本でも刺さる

「しくじり先生」が人気なように、日本でも失敗談を共有するコンテンツは非常にウケます。「SEOは効かなかった」「アフィリエイトは99%ダメだった」という正直な共有は、日本の読者にも響くはずです。

メールはプレーンテキストで

日本のメルマガでも、リッチなHTMLよりプレーンテキストの方が開封率が高い傾向は共通しています。個人事業主や小規模ビジネスなら、特に試しやすいのではないでしょうか。

日本独自のカスタマイズ

  • QiitaやZennでの技術記事投稿もチャネルに加える(日本では技術系記事のSEO流入が強い)
  • 日本のビジネス系YouTuberやVoicyパーソナリティとの提携を検討
  • 「稼いでますアピール」は日本では敬遠されがちなので、トーンを調整する

冷静に見ると——再現性の限界も知っておこう

良いところばかりを取り上げるのもフェアではないので、少しだけ冷静な視点も入れておきます。

まず、Felixの戦略がすべてのケースで通用する保証はありません。Product Huntのアルゴリズムは時期や競合によって変動しますし、同じBuild in Publicの戦略で失敗した人の声は表に出てこないだけかもしれません(いわゆるサバイバーシップバイアス)。

また、兄弟2人というチーム編成は完全なソロプレナーとは条件が異なります。「自分には兄弟がいないから無理」と感じる人もいるでしょう。でも、ここで重要なのは「チームの形」そのものではなく、「検証してから作る」「過程をシェアする」という原則です。これは1人でも実践できます。

「口コミ35%」についても、「プロダクトの品質で驚かせる」というのはどの起業家も目指していること。再現が最も難しい部分だと割り切っておくのが現実的でしょう。

それでも、「需要を確認してから作る」「正直に進捗を公開し続ける」「効かないチャネルはさっさと捨てる」という3つの原則は、誰にでも応用できるものだと思います。

今日のひとくちメモ

FelixとDavidのストーリーで一番刺さるのは、2度の失敗を「無駄」にしなかったことです。AIConvertもTinderRoastもビジネスにはなりませんでしたが、そこから「需要を確認してから作る」という教訓を引き出し、次のプロダクトに活かしました。

失敗の数だけ、次に使える教訓が増える——そう考えれば、失敗が少しだけ怖くなくなるかもしれません。

もしAIを使ったビジネスやソロプレナーの最新事例に興味があれば、ごはんAIのニュースレターもぜひチェックしてみてください。海外の成功事例を、日本のビジネスパーソン向けに分解・解説しています。

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📝 参考・調査に使用した情報源:

  • Reddit (r/Solopreneur) — Felix本人による$51K達成レポート: https://www.reddit.com/r/Solopreneur/comments/1mp3y5w/made_51000_with_my_saas_in_10_months_heres_what/
  • Reddit (r/Solopreneur) — Felix本人による月$14K達成・顧客獲得の詳細レポート: https://www.reddit.com/r/Solopreneur/comments/1ngpuoc/my_startup_just_reached_14kmo_heres_exactly_how_i/
  • AI Cofounder 公式サイト: https://aicofounder.com
  • AI Cofounder — Our Story(兄弟の背景ストーリー): https://aicofounder.com/our-story
  • Product Hunt — AI Cofounder: https://www.producthunt.com/products/aicofounder-com
  • X/Twitter — @aicofoundercom, @felixheikka